鎌倉時代を語る塔 海住山寺

先日の笠置寺よりやや北西。奈良から少し外れた京都は木津川市。
今回は海住山寺を紹介します。

JR関西本線「加茂」駅からバスに乗り「海住山寺口」下車。

そこから一面に広がる田園風景の中を1.7キロほど山の斜面に向かって歩いていきます。笠置寺同様徒歩利用だと以外に時間がかかります。駐車場がありますので、レンタカーなどで訪れても大丈夫です。

境内に入ると、まず目にはいるのが本堂の隣にある立派な五重塔。

1214年に建てられたもので、国宝に指定されております。
鎌倉時代に建てられた五重塔で現存しているのは、この塔のみとのことです。

海住山寺五重塔

海住山寺五重塔(Wikipediaより)

上に写真を載せましたが、皆さん、屋根を数えて見てください。

五重塔っていうのに、屋根が6つありますよね?あれ?六重塔??

実は一番下に付いている屋根、これは「裳階(もこし)」と呼ばれ、建物を風雨から守る目的で作られているんです。

なお、江戸時代までに作られた五重塔、あるいは三重塔の中で裳階がとりつけらた塔は、法隆寺五重塔、薬師寺東塔、長野県の安楽寺三重塔とこの海住山寺五重塔の4基のみだとのことで、大変貴重なものです。

この海住山寺、もともとは735年、聖武天皇が夢の中でお告げを聞いたのを受けて建立されたとのこと。

そして創建途中に嵐に見舞われた際、十一面観音が出現したので「観音寺」と呼ばれていたそうです。

その後12世紀に入って焼失したのですが、その後すぐに貞慶というお坊さんが再興しました。

五重塔が建てられたのは13世紀に入ってから、1214年のことです。

本堂の本尊は木造十一面観音立像。

近年、寺内から木造の四天王像が発見されており、これは鎌倉時代、東大寺を再興した際に作られた四天王像のミニチュア版です。
東大寺の四天王像が焼失してしまったため、このミニチュア版は当時を記録する非常に重要な像となっております。
四天王像は奈良国立博物館に寄託されています。

山の中腹にあるため、お寺からの眺めもとてもいいです。

ハイキング気分で、訪れてみるのもいいのではないでしょうか。

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