気温も上がらず、肌寒い一日でした。
ゴールデンウィークも終わったのも相まって、池の近辺の人はまばらです。
雨の中傘をさしてしばし池のほとりにたたずむと、池の上を流れる風が周りの音を吹き去るような、そんな静かな雰囲気を感じることができます。現在では奈良の風景として、自然なものとして受け入れている猿沢池ですが、この池はもともと人工のものです。
歴史は古く、奈良に都があった749年に興福寺が「放生会」を行うために作りました。放生会とは、殺生をいましめるための宗教儀式です。殺生を哀れんだお坊さんが自分の持ち物を売り、そのお金で魚を買い取り、池に放った(放生した)というお話がもととなり、仏教の儀式として取り入れられるようになったそうです。
放生会の儀式自体は興福寺特有のものではなく、大分県の宇佐神宮、京都の石清水八幡宮などでも行われております。興福寺では現在でも毎年4月17日に放生会が行われ、参加者は猿沢池のほとりで魚を入れた手桶を片手に般若心経を読誦し、そののちに一斉に魚を池に放ちます。
今年の放生会からもう1ヶ月近くが経とうとしています。春真っ盛りの時に行われてから、もう梅雨の足音が聞こえる季節へと移り変わってきています。猿沢池は季節ごとに、色んな表情で私たちを楽しませてくれます。
仕事の途中で立ち寄ったのですが、しばし佇み、さあもうひと頑張り!元気が湧いてきました☆